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府内の会議室とホテルに費やされ、また、限られた時間と場所の現地視察、過密なスケジュールのためホテルで食事をすることが多く、生活の実態や物価の水準を実感できる機会に恵まれなかったのですが、中級の公務員で月4万円位、政府高官で月7万円位の給与であることを勘案すれば、経済の状況がある程度想像できると思います。治安状況についても、常時、警察の方が同行してくれたのであまり危険を感じることも無かったのですが、新ユーゴとの国境地帯バヤコボを訪問したとき国連軍が中心となって監視活動を行っており、たとえクロアチア警察の方が同行しているとはいえ、チェックは厳しく、幹線道路から外れると未だ地雷が埋まっているとのことで若干緊張しました。
また、食事については、内陸部のザグレブではハム、ソーセージ、肉、じゃがいも、パンが主で、ウィーン同様ドイツ料理に似ていますが、アドリア海沿岸部は海産物も豊富でイタリア料理に似ているなと思いました。
本来の任務である薬物対策の調査の面では、1991年に旧ユーゴから分離独立して自由主義経済及び民主主義を新たに導入したものの、依然として警察国家であり、警察にあらゆる権限が集中していることであります。例えば、海上分野においても、漁業の許可、海技免状の発行、港内を含むあらゆる国境での出入国審査等々日本の水産庁、運輸省、法務省の業務の一部を一元的に行っているのです。入港した外国貨物船の船内における薬物の取締りについても、実質的には警察が行っており、税関は通関時に船内で不審人物や不審な事象を発見したときは警察に速報するといった具合に、日本を初めとする先進各国の税関の機能とは著しく異なり、警察の手足として機能しているのが実情でありました。また、港湾を含む海上での取締りについては、重要開港での外国貨物船の船内サーチに対してのみ警察が強い関心を示していましたが、外国貨物船の船内サーチ手法あるいは要注意船舶リスト作成要領(RISK PROFILING)をどのようにしたら良いのか警察、税関共に全くアイディアが無く、洋上での取締りについては考えも及ばないというような状況でありました。このようなことから、当初、税関を主体に調査を進めていましたが、途中から調査の対象を警察に変更せざるを得なくなったのは事実であります。
4.調査の結果報告
一週間の調査を終え、ウィーンに戻ってきた後、団長、他の団員、UNDCPの担
 

 

 

 

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